冬が終わるのも、
さびしい。
梅や椿の花を見ると、冬がもうすぐ終わりだということを実感してきます。
冬は寒いけど、静かで気持ちがよくて、食材や花も長持ちして、鍋も美味しいので、季節の終わりが近くづくとどうしても寂しくなります。
蕾がふくらんできたころから、暖かい日と寒い日を繰り返し、すこしずつ日が長くなってきます。
苔は青々と元気そうな様子がみられ
草や木からもすこしずつ緑の色が見え始めてくるそんなこと。
ウグイスも鳴きはじめました。風も暖かくなり、雨も降るように。
春の移ろいに便乗
周りの景色から移ろい、僕たちもその景色に同調するように移ろう。
2021年2月3日の立春から少しずつ移ろい始めた景色と同調するように
僕たちの中にも今年は強く移ろいを感じることがありました。
繋がりや絆を感じる日々
今年は特につながりや絆というのが芽生えてくるような出来事がおおいと感じます。
昨日3月5日から行っている「TUG BOOKS」の田山くんの読書イベント。
彼は、数年前に移住して小豆島で今、本屋さんをつくろうと頑張っているのですが、
彼とも、今年の2月にちゃんと話すようになり、イベントをうすけはれにて行うことになりました。
本が好きな彼と話をしていたら、
あ、本、読みたいなって本読む時間って大事だなって改めて気づかせてもらえました。
彼との出会いは、昨年からうすけはれのインスタグラムのストーリーズなどで、公開している「茅(かや)」採取。
この「茅」採取に田山くんが参加してくれて、彼との距離感がぐっと近づきました。
かや部 / かやのときいたる
僕たちが「茅」採取をはじめたのは、ススキをはじめとした、よくある身近な茅に魅力を感じ始めたからでした。
3年ほど前に、築120年を超える茅葺き屋根の家に出会い、その中の空間に入り、茅葺き屋根の空間体験に僕たちは圧倒されました。そしてコロナウィルス感染症のこともあり、暮らしの中に余白を求め、僕たちはあの3年前の空間体験を思い出し、
”どうしてかわからないけど” かやを集めたいと思い、この3ヶ月ほど茅を集めるようになりました。
そして最初はその築120年を超える茅葺き屋根をふきかえたいと考えていましたが、
茅葺き職人の相良育弥さんとお会いしお話をさせていただくなかで、
茅葺き屋根をふきかえることだけが、茅の使い道ではないということを感じました。
具体的な目的がないけど、やる。そんなことをやるのもいいのではないか。
このような気持ちもあり、僕たちは、友人たちと「ススキ」を「収穫」することになりました。
少しだけ具体的な目標も考えながら、少しずつ学ぶように行う部活動のようなこと。
そして、調べてみると、ススキは炭素を吸収し、固定化することで、地球にも良いとのこと。いい趣味だ。
僕たちの暮らしの余白は、体を動かし、茅をかる、保管をするところを作ったり、茅が育ちやすい環境をつくってあげたり。
できたら耕作放棄地みたいなところを綺麗にして茅を増やしたら、一石二鳥かもしれない。
かやのときいたる
この部活動に僕たちは名前をつけました。
「かやのときいたる」
この名称の由来は、”麦秋至(むぎのときいたる)”という24節気をさらに3つに細分化した時期をあらわす季語のなかにある言葉を引用しています。
麦秋至
麦が熟し、畑一面が黄金色になる頃。毎年5月31日〜6月4日頃に訪れます。
麦が実り、麦にとっての「収穫の秋」になったころ、
その様はまるで秋のように美しく黄金色に輝いている様を表した季語。
わくわくもして
この言葉に由来し
茅の主な原材料のススキが一面に広がり、まさに収穫のいま、かやのときがきた。
と思えるような「時代」を生み出すことができたらという思いや願いを込めました。
地元で育てることで、耕作放棄地のような荒れた土地は減るかもしれない。
かやの可能性を探求し、屋根だけではなく、もっと暮らしの近くに浸透しているような未来の選択肢をつくることはできないか。使い古したら、最後は土に混ぜて肥しにすればよい。そういう美しい暮らしの道具がつくれたらかっこいい。茅を素材の特性を生かした”場づくり”の可能性はないだろうか。ススキは里山の美しい景色に貢献できるのではないか。
僕たちはこのような、わくわくを心のうちに秘めながら、気持ちのいい単純作業を行います。
この部活動がこれからもずっと持続可能なのかとかいろいろ、まだ答えはありません。
ただ、この部活動が日常にあってほしいと思える今に感謝をしながら、いつか使うときのために、かやを集め、保管し続けます。
文字にしてみて初めて、ちょっとおかしなことを考えている気もしてきました。
ですが、このかや部の活動を通じて、田山くんや色々なつながり・絆が生まれはじめ、暮らしや人生に広がりが生まれてきています。ススキやかやという日本の暮らしの共通認識が人から人へとご縁をうみだしてくれているのでは、とも少し思ったりします。
心地いい作業を続ける
この茅の作業はとても単純で地道で静かな作業。
かやのカサカサ音がメインとなるその作業は、なにか精神に働きかけ、とても気持ちの良く、美しい作業。
こういった美しい作業は色々な効率化のゆえの機械化のなか
効率化をしなくてもよいものとして残していってもいいのではないかと思うほどに、大事にしたいことのようにも感じます。
昨年から、僕も色々とひとりで悩むことも多かったのですが、このかやの取組を通じて、ひとりで悩んで解決策を生み出そうと考えることは愚策だと気づき、ひとりで解決策を生み出そうと思うことに諦めがつきました。
友人や人生の先輩と丁寧に、ちゃんと話をする・聞くこと。この大切さを学ぶことができました。
啓蟄/目覚めのとき
昨日から3月19日頃までの二十四節気を啓蟄(けいちつ)というそうです。
啓蟄(けいちつ)とは、土中で冬ごもりをしていた生き物たちが目覚める頃のこと。
生き物たちは久しぶりに感じるさわやかな風と、麗らかな春の光の中で生き生きとしています。
ー暦生活より
陽気な春ももうすこし!
たくさんの希望を感じることができ、日々の変化が嬉しいこの季節。
これから山は蛾や蝶々や小さな虫たちが動き始め、山菜シーズンになり、桃や桜の花が咲き、あたたかで陽気な春を迎えます。
色々な春の楽しみが近くなってくのを感じながら、残りすくないですが、2021年の冬の時間も大切に大切に過ごしていきたいです。
このやぎさんは小豆島のふるさと村で飼われています。
https://www.shodoshima.jp/